山陽新聞 デジタル版(おかやま財界)にウェーブハウスの記事が掲載されました
2014.07.11
イオン効果でテナント出店活発化 JR岡山駅東口周辺
西日本最大級のショッピングセンター「イオンモール岡山」(岡山市北区下石井)の開業を11月に控え、JR岡山駅東口周辺では昨年からテナントビルの新設やリニューアルが相次ぎ、新規組を含めた飲食やオフィスなどの出店が活発だ。周辺はイオン効果もあって路線価が6年ぶりに上昇、テナントビルの空室率も大幅に改善されている。近くリニューアルを予定しているテナントビルもあり、当分はテナントの出店攻勢が続きそうだ。 JR岡山駅東口の至近距離にあるテナントビル、第一セントラルビル(同本町、延べ約2万7150平方メートル)。昨年度中に日本年金機構(東京)関連の年金問題を扱うコールセンター(2階と4階)が業務終了のため退館、空きフロアの約3300平方メートルでテナント募集したところ、4月以降に登山用品・アウトドア用品専門店の好日山荘(神戸市)、全国にレンタルオフィスを展開する外資系の日本リージャス(東京)、大阪、神戸、岡山で4店舗を経営するエステサロン「ガラシャ」(大阪)、全国展開の脱毛専門サロン「ミュゼプラチナム」(東京)の4社との契約が完了。このほかにも現在、医療機関と契約を協議中で、予定通りだと人間ドック機能がある診療所が今秋にはオープンする。 新規テナントの概要は、好日山荘が1、2階に入居し、岡山駅前店として6月20日にオープンした。2階部分の店舗に加え、1、2階にクライミングジム「グラビティリサーチ岡山」を出店した。ロープクライミングエリアの高さは7メートル、ボルダリングエリアの最大斜度は151度あり、本格的なインドアフリークライミングが楽しめる。 同店は5月に閉店した岡山ビブレ(岡山市北区幸町)からの移転で、全体のフロア面積は以前より3割ほど増えた。同店の西村達史ストアマネージャーは「新店には、前の店にはなかったクライミングジムを備え、若者層へのアピール力を強めた。相乗効果で売り上げを伸ばしたい」と言う。 レンタルオフィスの日本リージャスは、6月2日に「岡山第一セントラルビジネスセンター」をオープン。4階の約540平方メートルに1~8人用の貸しオフィス(3.8~16平方メートル)を計59室設け、月額4万円からレンタルする。駅前の一等地をにらんで1日単位でもレンタルし、有料で電話の取り次ぎや書類作成など秘書サービスも用意した。時間貸しの会議室などもそろえている。 同社は地方都市への進出を強めており、岡山への進出は中国地方では広島に次いで2拠点目。西岡真吾社長は「個人事業者や企業のサテライトオフィスなどの需要を見込んでおり、問い合わせや内見の申し込みが想定以上に入っている」と手ごたえを話す。 今秋、同ビルへの移転オープンを目指している岡山中央放射線診療所は現在、岡山市北区野田屋町のテナントビルで開業しているが、建物の老朽化と手狭化に伴い移転計画を進めている。開設50周年記念事業の一環として名称も「ウェル ビーイング メディカ保健クリニック」に変更した。計画では6階の約600平方メートルに診療所と人間ドック・各種健康診断に対応した設備・スタッフを整え、担当の医師が契約者とその家族の健康について相談にのる会員制健康クラブの併設も検討している。 同診療所を運営する医療法人・養寿会の林肇輝理事長は「移転には多額の費用を伴うが、駅前という好立地で受診者を増やし、地域の医療機関とも連携を強めることで、県民の健康維持、病気の予防・早期発見にも貢献したい」と駅前立地のメリットを強調する。 第一セントラルビルは1978年11月に竣工、鉄骨鉄筋コンクリート地上9階、地下2階。岡山駅とは地下道で直結し、雨の日でもぬれずに行き来できる利便性に加え、物販、来店型店舗、企業のオフィスなど、顧客のニーズに柔軟に対応できるユーティリティーの高さでもともと人気が高い。ビルを経営する天満屋グループの丸田産業(本社・第一セントラルビル内)の原野広取締役管財部長は「予想以上の早さで空室が埋まった。イオンモール岡山の開業で、テナント各社は新たな客層を取り込みたいという強い期待がある。現在も保育施設や学習塾、変わったところではアクタースクールなど幅広い業種からの問い合わせがある」と語る。
周辺路線価も上昇 イオングループが岡山駅東口の旧林原の本社跡地に大型ショッピングセンターの構想を明らかにしたのは2011年秋。年間2000万人もの集客力は、確実に周辺の土地、テナントビルの価値を押し上げている。 今年1月1日時点の岡山駅東口地区の路線価は、岡山高島屋前が4.4%、イオンモール岡山前が5.1%それぞれ上昇、同地点の路線価のアップは実に6年ぶり。事業用不動産サービス大手のシービーアールイー(CBRE、東京)がまとめた昨年12月時点の市役所筋・岡山駅西口の平均オフィス空室率も、3カ月前より1.5ポイント改善し9.4%となった。同じ調査ゾーンで過去5年間で最悪だった2011年9月時点の空室率が14.9%だったことを考えると、この3年足らずで大幅にテナント利用の需給はタイトになっている。第一セントラルビルに出店した日本リージャスの西岡社長は「今秋、大型商業施設が開業する岡山駅周辺は、ビジネスや人の流れが集積しつつある」ことを進出の理由に挙げる。 これに連動して駅東口地区は第一セントラルビルだけでなく、周辺でテナントビルの新設、リニューアルの計画が相次いでいる。 オフィスビルのテナント募集も手がける不動産業、ウェーブハウス(岡山市北区辰巳)は、駅前の活性化を見越して北区駅前町の9階建て商業ビル(延べ837平方メートル)を購入、リニューアルして今年4月に「ウェーブハウスビル岡山駅前」をオープンした。現在、賃貸フロア(7フロア)には美容院やクリニックなど9店が入居し満杯になった。8、9階の2フロアは時間貸しの会議室スペースとし、外部のセミナーなどに貸し出しており、利用は好調という。 昨年11月、成通グループ(同駅前町1丁目)は、本社ビル東隣に「成通ハリービル」(同、鉄骨8階建て、延べ2134平方メートル)を建設し、昨年11月に開業。こちらもドラッグストア、カラオケ店、居酒屋など7店舗ですぐに埋まった。 ウェーブハウスの市川周治社長は「かつては市役所筋でも、あくら通りより北側に比べて南側は入居希望が少なかった。岡山駅との距離が遠くなるほど賃料を下げても、なかなか埋まらないという現象があったが、現在はそうした格差が縮小している」とみる。 リニューアル計画めじろ押し こうしたテナントビルの新設、リニューアルは、今後とも活発化する見通しで、直近では第一セントラルビルの北隣にある同ビル2号館(鉄筋コンクリート地上9階、地下2階、延べ1万3709平方メートル)では、地下1階から地上4階までを占めていたファッション主体の商業施設「岡山OPA(オーパ)」(売り場面積・延べ約3000平方メートル)の動きが注目されている。 同ビルはかねてから業績不振の岡山OPAが9月で撤退の意向を固めており、撤退後の空きスペースに誘致する業者を検討中。2号館ビルを経営する丸田産業は「後継テナントについては、さまざまなケースを想定して計画を練っている」とするが、周辺の事情に詳しい不動産業者は「駅東口周辺へのファッション、雑貨などの物販系、飲食を中心とした出店機運は、イオン効果でこれまで以上に高まっている。えり好みしなければ埋めるのはそう難しいことではない」と話す。 市役所通りを挟んでイオンモール岡山の対面にあり、5月に閉館した岡山ビブレも今後テナントを含めた新たな店舗展開が予想され、岡山駅東口周辺で当分はテナント出店の攻勢が激化しそうだ。 以上、(おかやま財界)より引用。