【岡山市編】不動産相続の生前対策を行った事例
岡山市における、「不動産相続の生前対策」の事例を弊社が担当した事例を基に、関係者や物件が特定できないように、複数の事実を改変・翻案してまとめた「想定事例」として3つご紹介します。
岡山市にお住まいのF様が、「事前に遺言書を準備して、相続トラブルを予防した事例」
お客様の相談内容
●売却物件 概要
所在地 | 岡山市北区 | 種別 | 一戸建て |
---|---|---|---|
建物面積 | 121.75m² | 土地面積 | 181.33m² |
築年数 | 45年 | 成約価格 | 2,050万円 |
間取り | 5LDK | その他 | ― |
●相談にいらしたお客様のプロフィール
岡山市にお住まいの70代のF様がお客様です。
F様は、岡山市の一戸建てにご夫婦でお住まいです。
息子様お二人は実家を離れ、それぞれ兵庫県と大阪府にご家族とお住まいです。
F様の息子様は兄弟仲が悪く、F様は相続時に争いが発生しないか、大変気を揉まれていらっしゃいます。
解決したいトラブル・課題
将来息子2人に相続が発生する際、金融資産と不動産を平等に分配させ、相続争いを未然に防ぎたい。
F様は、金融資産と不動産を平等に相続させることで相続争いを未然に防ぎたいお考えです。
不動産は売却して売却益を等分し、分配すればよいのだろうとF様は考えましたが、それを実現させるための具体的な方法がわかりません。
不動産会社の探し方・選び方
F様は、相続不動産のトラブル解決に強い不動産会社があるはずだと思い、インターネットで相談先を探すことにしました。
その中で、
・「相続に関する困りごとを解決」と大きく書かれており、生前対策もサポートしている
・相続に強い司法書士の紹介をはじめ、遺言書の作成など様々なサービスを提供している
ウェーブハウスを見つけ、F様は早速相談に行くことにしました。
F様の「トラブル・課題」の解決方法
「相続争いを未然に防ぐために、子供に平等に遺産を相続させたい」とお望みのF様には、清算型遺贈をお勧めいたしました。1. 清算型遺贈
不動産を含む全ての財産を換価したうえで、相続人に相続させることを「清算型遺贈」(遺言書にする場合は、「清算型遺言」とも)といいます。
法定相続通りに不動産を共同相続させ、二人の名義にすることも平等に相続させる方法の一つではありますが、相続人が不仲な場合は、共同名義の不動産の利用や処分をめぐって対立が懸念されるでしょう。
相続人である息子様お二人が不仲であるF様の場合は、相続させる金融資産やご自宅を現金化して二人に平等に分配するのが最善だといえます。
「清算型遺言」の文面例は、下記のとおりです。
遺言者は、その有する全財産を換価処分し、その換価代金から、遺言者の全債務、葬儀費用、遺言執行費用、売却手数料及び不動産登記費用、不動産譲渡所得税など本条項を執行するに必要な一切の費用を控除した後の残金を、息子〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)及び息子〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に等分して遺贈する。
通常、「清算型遺贈」では、遺言書に基づいた相続を実現させるために事務手続きを行う「 遺言執行者」を遺言書で指定し、不動産売却に関わる手続きを担当してもらいます。
遺言執行者には相続人がなることも可能ですが、第三者の立場にある税理士や司法書士、弁護士などの専門家に任せると、手続きが円滑に進みやすいです。
2.「結果」
F様は弊社のご提案通り、「清算型遺贈」によってトラブルを未然に防ぎたいとご希望頂きました。
弊社が提携する司法書士がF様の遺言書の作成をサポートし、F様の「遺言執行者」に指定され、遺産の平等な分割の実現に責任を持つことになりました。
数年後、F様が逝去され、遺言執行者である司法書士が「清算型遺贈」の手続きを行い、弊社を通して無事ご自宅が売却され、息子様の平等な相続が実現しました。
岡山市にお住まいのS様が、「家族信託制度を使って相続前の実家を売却した事例」
お客様の相談内容
●売却物件 概要
所在地 | 岡山市南区 | 種別 | 一戸建て |
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建物面積 | 91.43m² | 土地面積 | 149.13m² |
築年数 | 36年 | 成約価格 | 1,210万円 |
間取り | 5DK | その他 |
●相談にいらしたお客様のプロフィール
相談者のS様は岡山市にお住まいの50代のお客様です。
岡山市のご自宅で一人暮らしされているお父様の世話をしに、定期的にお住まいの岡山市内のマンションから通われています。
S様のお父様は最近、認知症の兆候がみられてきたので、S様にこれ以上ご負担をかけまいと、将来的には介護施設に入所されるご意向です。
解決したいトラブル・課題
父の認知症が悪化するまでは今まで通りに実家で生活させてあげたい。施設に入所することになったら、実家を売却し父の入所費用や生活費用に充てたい。
S様は長年両親の介護をしているご友人から、「認知症になったら資産凍結される」と聞かされていました。
預貯金を本人の入所費用や生活費に充てられなくなるとS様の負担が大きくなってしまうので、入所する時には実家の売却益を手元に置けるようにしたと思っています。
不動産会社の探し方・選び方
S様は、とりあえず売却が前提の実家の査定をしてもらおうと、不動産会社を探すことにしました。
いくつか見つけたホームページのうち、
・認知症に関する、不動産売買の困りごとの解決をしている
・オンラインで無料査定依頼ができる
地元のウェーブハウスを見つけたので、相談先に選びました。
S様の「トラブル・課題」の解決方法
S様が弊社にご実家の査定をご依頼下さったので査定の際、売却のご意向を伺ったところ、「一人暮らしの軽い認知症の父がいて、売却のタイミングについて悩んでいる」とご相談頂きました。
そこで弊社は、「家族信託」という、S様がお父様に代わってお父様の資産を管理・運用することのできる制度をお勧めいたしました。
1.「家族信託」でご実家とお父様の財産を管理する
家族信託とは、被相続人が認知症などで意思能力が著しく低下する前に、信頼できる家族に管理を任せる法的制度です。
「家族信託」は、生存中に財産管理や相続に備えて準備、対策をする「生前対策」の一つです。
家族会議で家族信託の目的、管理する財産の内容と管理方法、財産管理者などを話し合って決めます。
その後、家族信託契約書を公証役場で作成し、家族信託用の口座の開設、不動産の所有権移転登記手続きをして管理運用を開始することになります。
【家族信託の仕組み(S様のケース)】
信託契約 | S様のケース |
---|---|
委託者(保有する財産を預ける人) | お父様 |
受託者(財産を託され、管理・処分する人) | S様 |
受益者(財産を運用・処分した際に利益を得る人) | お父様 |
S様の場合、「受益者」はお父様になりますので、S様がお父様に代わって実家を売却した際の売却益は、お父様の財産となります。
S様は不動産の売却益を、家族信託の目的であるお父様の生活費に充てることができます。
2.「結果」
S様がご相談にいらっしゃってから数年後、お父様が施設に入所され、S様はご実家を売却しました。
S様は、「相談してから数年間、父が住み慣れた自宅で生活できた上に、今後生活費に困ることもなくなった。本当に相談して良かった。」とおしゃっていました。
岡山市にお住まいのE様が「相続人に認知症の母親がいたので、成年後見制度を使って実家を売却した事例」
お客様の相談内容
●売却物件 概要
所在地 | 岡山市南区 | 種別 | 一戸建て |
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建物面積 | 64.21m² | 土地面積 | 91.88m² |
築年数 | 44年 | 成約価格 | 970万円 |
間取り | 5DK | その他 | ― |
●相談にいらしたお客様のプロフィール
岡山市にお住まいの50代のE様が相談者です。
E様のお父様が亡くなり、ご実家と金融資産をお母様とE様が相続することになりました。
お母様は認知症で施設に入所されており、E様は持ち家があるのでご実家は売却したいと思っています。
しかし、認知症の相続人がいる場合の、相続手続きの進め方が分かりません。
解決したいトラブル・課題
認知症で施設に入所中の母親も相続人なので、認知症の人が相続人にいても実家が売却できる方法を知りたい。
E様のお父様は、遺言書を残されていません。
法定相続であれば、実家は母親との共同名義になりますが、認知症の母親がいる場合、どうやって売却したらいいのかわかりません。
E様は空き家の管理が負担になる前に、できるだけ早く売却したいので、不動産会社に早めに相談することにしました。
不動産会社の探し方・選び方
E様は相続不動産の売却に関する悩みを解決してくれそうな不動産会社をインターネットで探しました。
すると検索結果の中に、
・不動産相続に関しての様々な悩みを解決している
・岡山市に密着した地域のプロフェッショナルであり、売却力が期待できそう
なウェーブハウスが見つかったので、E様は早速オンラインで問い合わせをしました。
E様の「トラブル・課題」の解決方法
E様は認知症のお母様が相続人であることで、不動産の相続と売却をどうやって進めるの?とお困りのご様子でした。
弊社から、まず認知症の相続人がいる場合の問題点と、その解決策である法制度についてご案内差し上げました。
1.認知症の相続人がいる場合の問題点
認知症の相続人がいる場合、相続時に主に下記の問題が起こります。
相続人全員の合意が必要な「遺産分割協議」で法定相続や遺言書と異なる相続ができない
・認知症の相続人と共同相続した不動産は、自由な利用や処分ができない
・認知症の相続人は、相続放棄ができない
「遺産分割協議」や「相続放棄」では、通常相続人本人の同意があれば代筆が認められるケースがありますが、認知症の相続人は「意思能力を欠く」とみなされるため、代筆が認められません。
上記の問題は、「成年後見制度」を利用することで解決できます。
2.「成年後見制度」とは
成年後見制度とは、認知症や知的・精神障害などにより判断能力が不十分な方を保護し、支援するための制度です。
親族や弁護士、司法書士などが後見人として指定され、財産管理や法的手続きを代行します。
成年後見制度のメリットとデメリットは以下のとおりです。
【成年後見制度のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
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・遺産分割協議で法定相続と異なる相続手続きを進めることができる ・本人に代わって、本人の生活に必要な契約や預貯金の引き出しができる ・不正な契約の取り消しや親族による財産の横領を防げる |
・本人の生活や健康を維持するため以外の出費は認められず、積極的な資産運用もできない ・必ずしも家庭裁判所により親族が選ばれるわけではない ・成年後見人に報酬の支払い義務がある ・原則として成年後見人は途中で解約はできない |
E様のお母様に十分な判断能力がある場合は、お母様ご自身が後見人(任意後見人)を選べます。
しかし、E様のお母様は認知症が進行してしまったため、家庭裁判所が「法定後見人」を選任することになります。
なお、親族による被後見人の財産の不正利用を防ぐ目的から、「法定後見人」は第三者が選任される傾向があり、令和5年の統計では全体の約81.9%が親族以外の後見人です。
3.「結果」
E様は成年後見制度を利用して、相続手続きを進めることにしました。
弊社が提携している司法書士のサポートのもと、無事に相続手続きを完了させることができました。
相続手続き後に売却活動を開始し、商業施設と小学校へのアクセスのよい立地にあるご実家は、約5カ月で買い手が見つかり無事売却に成功しました。